東京地方裁判所 昭和52年(タ)339号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【説明】
認定事実によれば、X女とY男は、昭和三七年六月ころ同棲し昭和三九年五月四日婚姻届を了し、二女をもうけた。「Y男には不貞行為が絶えず、昭和四二年ころには一週間に一日位家に帰るのみで外泊が続き、昭和四五年七月には某女宅の階段から転落して大腿部骨折の重傷を負い、昭和四八年五月ころの早朝には、自動車に女性を同乗させて進行中に追突された。Y男は、飲酒しては毎晩午前三時ころに帰宅したり、時々外泊したりして、X女をかえりみない生活を続けたが、昭和四八年五月ころから、Y男はX女に全く生計費を渡さなくなり、昭和四九年六月ころY男は家を出て、それ以来X女に対し何らの仕送りもしなくなり、X女を悪意で遺棄し、XY間の婚姻生活は全く破綻し、かつ回復の可能性もない」。「昭和四五年ころ千葉県○○市〇〇七九二番に約五〇〇坪の土地(別荘地)を五〇〇万円位で購入し」(現在約一、〇〇〇万円相当)(注・右土地の購入資金の出所・所有名義等は判文からは明らかでない)、「Y男が家出する直前には七、八〇〇万円位の預金があつたが、Y男がこれを使つた。」という事情にある。なお、長女は昭和五〇年ころY男が引取り養育している。
X女はY男に対し、民法七七〇条一項一号、二号、五号を理由に離婚と、二女の親権者をX女に指定し、金三〇〇万円の財産分与と金二〇〇万円の慰藉料支払いを求めて本訴を提起した。
【判旨】
二以上認定の事実によれば、原被告は昭和四九年六月ころから別居して現在に至り、婚姻生活は全く破綻し、かつ回復の可能性はないことが明らかであるから、原告の離婚請求は理由がある。また、前記事実関係のもとにおいては、原被告間の長女の親権者は被告、二女の親権者は原告と定めるのが相当である。しかして、原被告が婚姻後に取得した財産の価額、原告の寄与率、婚姻期間、離婚後の扶養、その他本件記録にあらわれた一切の事情を考慮すれば、原告に対する財産分与は金三〇〇万円が相当であり、また、婚姻破綻の原因は被告の不貞行為、悪意の遺棄等被告の有責行為に基因することが明らかであり、これがため原告が多大の精神的苦痛を蒙つたものと推認され、原告の年令(昭和一〇年三月一五日生)、子の数、婚姻継続期間、婚姻破綻の原因等諸般の事情を考慮すれば、原告に対する慰藉料は金二〇〇万円が相当である。そうすると、被告は原告に対し、財産分与ならびに慰藉料として金五〇〇万円の支払義務があるというべきである。
(村重慶一)